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汕頭(スワトウ)刺繍の穴・ヨレは不良品ではない。その原因とは?

皆さんは「汕頭刺繍(スワトウ刺繍)」をご存知ですか? スワトウ刺繍は、中国の汕頭(スワトウ)地方で長年受け継がれてきた、繊細な手刺繍の技法です。特徴的なのは、刺繍とともに開けられた小さな穴が模様の一部となっていること。この独特のデザインは、職人の手仕事によって一針ずつ丁寧に仕上げられます。

もともと無地の布に、穴を開けながら模様を形作っていくという手法は、世界的にも珍しく、その繊細さから高級刺繍としても知られています。

レースのような模様が特徴的で、着物だけでなくハンカチなどにも使用されています。

【ちょっとした豆知識📝】
汕頭刺繍は世界に誇る三大刺繍の一つとされており、残り二つは「相良刺繍(サガラ刺繍)」と「蘇州刺繍(ソシュウ刺繍)」であり、どれも誕生した中国の地名に由来されています。

相良刺繍とは、別名「玉縫い」とも呼ばれ、生地の裏から糸を引き出してから結び玉を作り、これを繰り返しながら模様を描いていきます。
ポコポコとした触り心地が特徴です。

蘇州刺繍とは、通常の刺繍糸の2分の1から36分の1ほどの髪の毛よりも細い絹糸を縫い重ねながら模様を描く技法で、動物の模様を見るとまるで本物の毛並みのように見えます。
「絹の絵画」とも呼ばれており、よく置物や中華風の団扇にも使われています。
弊社にもこんなに可愛い蘇州刺繍の置物がありました!

汕頭刺繍の工程と生地の扱い方

汕頭刺繍を施す際には、生地の歪みや緩みを防ぐため、特別な工程が必要になります。

① 生地を固定

皆さんはこのような刺繍枠と言う道具を見たことはありますか?
刺繍の作業をする前に、生地に歪みやたるみが出ないようにする道具です。

汕頭刺繍も同様で、特に着物を作る場合は、あて布をして針で抑えながら枠に貼る工程があります。これは、刺繍をする部分だけをピンと張ることで、作業がしやすくなるだけでなく、美しい仕上がりにするための大切なポイントです。

② 一般的な柄と全通し柄の違い

↑弊社加工部で実際に取り扱っていた商品

一般的な刺繍柄の場合、刺繍を施す部分のみを張るため、それ以外の箇所には負担がかかりません。しかし、総刺繍(全通し柄)の場合は少し状況が変わります。

全通し柄は、広範囲にわたって刺繍を施すため、生地を何度も引っ張りながら縫い進めることになります。この作業の過程で、同じ箇所に何度も針が通ることによって針穴が広がる場合があるのです。

全通し柄の注意点:生地が切れたように見えることも

全通し柄では、何度も針が通ることで、場合によっては生地が切れたように見えることがあります。

「えっ、これって不良品?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません!

この状態は、汕頭刺繍の製作過程においてどうしても起こりうることであり、特に繊細な生地を使用した刺繍では避けられない現象です。

ただ、これを知っておくことで、仕立ての際にその部分に少し気をつけることができます。

仕立て時のポイント

  • 生地が弱くなった部分には無理に負荷をかけない

  • 縫い合わせの際に、その部分を避けて裁縫する

  • 裏地をしっかりつけることで補強する

こうしたポイントを押さえれば、問題なく長く愛用することができます。

汕頭刺繍の魅力を知って楽しもう

汕頭刺繍は、職人の手によって一針ずつ施される繊細な技法です。その美しさを支える裏側には、こうした細やかな工程があることを知ると、より一層この刺繍の魅力を感じられるのではないでしょうか。

一見すると「生地が切れている?」と思うような部分も、職人の技が生み出す味わいの一つ。そう思うと、より愛着が湧いてくるかもしれません。

ぜひ、汕頭刺繍の美しさを楽しみながら、素敵な一枚を選んでみてくださいね!


※上記内容は当店の観点から掲載している為、誠に申し訳ございませんが、個別で商品についての問い合わせにはお応えしておりません。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。当ページを通じて、少しでも着物の魅力を存分にお楽しみいただければ幸いです。

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